: ケーリー・ハミルトンの定理
: Dsys
: 可制御性
今までのお話は
のお話で,
と意図的な外力(制御)を加えていくと, から始まる
はどうなるか調べてみました.
結局
となります.
から まで(5)式の系に何らかの 個の制御量
を加えて任意の から出発して
と変化させ,最後の がある目標
の と等しくなるようにできるかどうかを考えます.これが可能な場合,系(5)は「可制御」であるといいます.このための条件は
でした.
ここで すなわち「 の階数が 」という条件は
の 行 列の正方な部分行列のどれかの行列式の
値が ということが条件でした.
さて(5)式の系に
|
(26) |
という式を加えます.
は 次の列ベクトル,
はそれぞれ 行 列の行列, 行 列の行列です.
が系の状態変数と呼ばれるのに対して,
は系の出力と呼ばれます.
を時不変な離散時間線形システムの状態方程式と呼びます.
「時不変」というのは,係数行列 が時間に( に)
依存しない定数行列だからです.「線形」というのは(5),(26)が
について線形(係数行列 がそれぞれ
掛け合わされ,加えられている)という意味です.
をお子様の学力, を進学準備のための教育の投資・努力に例えましたが,
が学力の要素「計算能力」「読解力」「論理思考能力」etcなどを表し,
は学期末テストの(総合)得点などに例えられます.
教育の投資・努力 によって変化するのは学力 ですが,これが目に見えて確認できる(観測できる)のは学期末テストの(総合)得点などの
で, は学力 を経由して という行列によって間接的に
をもたらしていることになります.無論 のように直接
に影響する項もありますが.
- [親子の会話]
- 教育ママ(または教育パパ)
- 「XXX君,ちっとも成績良くならないね!!勉強してるの?」
=「 が上がらないね,
は?」
- 覚めた子供
- 「そんなこと言ったって,ちゃんと勉強(努力)してきたよ.でもパパ達の子供
だものしょうがないでしょ」
=「
はちゃんと与えた,そもそも初期点 が悪い.」
家庭内の会話は兎も角:
と
から を決定する
にはどのような条件が必要でしょうか? が正方行列で逆行列 があれば
から
で直ぐに判るのですが, は一般には,そうではありません.
という横ベクトルで がその の成分の総和
( が 年後の[国語,数学,英語,物理,化学,生物]の学力, が総合得点
ということもあるでしょう.)
テストの得点は基礎学力の投影であっても,それだけで,基礎学力を正確に知ることは出来ません.
これには(5),(26)を再度見てみる必要があります.
次に
で,
でしたから
同様に
で
でしたから
さらに
で
でしたから
この操作を繰り返せば,
結局
とおくと
を得て,これを見やすいように変形して
ここで と
が全て
判っていますから
も既知な量です.
個の 行 列の行列
を縦に並べ 行 列の行列
と 次の列ベクトル
を作ると(27)式は
|
(28) |
となります.
方程式(28)が解を持つ条件は
です.
と
から を決定できる場合,この系は可観測であるといいます.
特に が1次の横ベクトルの場合(この場合,出力
はベクトルでなく数)は,この条件は
の行列式 と同値です.
今までの議論をまとめると
時不変な離散時間線形システムの状態方程式
について
ただし,
ただし,
練習問題7
も適当な行列とします.
この系の可観測性を判定してください.
この場合は です.
: ケーリー・ハミルトンの定理
: Dsys
: 可制御性
Yasunari SHIDAMA