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シャーロック・ホームズの選択

有名なホームズの物語の一つです。そもそも, このネタはゲーム理論の大家による入門書に書かれていたのですが, 著者名とか, 細かい設定忘れてしまいました。

悪の天才, モリアティ教授の犯罪組織に壊滅的な打撃を与えたホームズは, 復讐に燃えるモリアティ教授と残党に執ように狙われます。

危険を感じたホームズは友人のワトソン博士と共に, 列車でロンドンを脱出, ドーバーに向います。そこで船に乗り換え, ドーバー海峡を渡ってヨーロッパ大陸に という目論見です。

しかしながら, さすがモリアティ教授, ホームズ達の計画を察知し, 彼らが乗った列車の後から, 特別列車を仕立てて追ってきます。

無論, ホームズもモリアティ教授の追跡を知らぬわけはなく, さてここで思案というわけです。

列車は, 終点のドーバー以外に, 途中, 一駅だけ止まります。その駅名忘れてしまったので, メイドストンとしておきます。

ホームズ達はメイドストンで途中下車し, 追ってくるモリアティ教授をやり過ごすことができます。

上手く行けば, ホームズ達はメイドストン, モリアティ教授は ドーバーで, 両方とも英国国内で「ゲームは振り出しに戻って引き分け」 でしょう。

しかし, モリアティ教授がその裏を図って, メイドストンで途中下車したら, ホームズ達は捕まってしまいます。

逆に, モリアティ教授がメイドストンで途中下車, ホームズ達が裏の裏をかいてドーバーに直行したら, ひと先ずは, ホームズ達の勝ち。

また, ホームズ達もドーバー, モリアティ教授もドーバーなら, この場合もホームズ達が捕まってしまいます。

ホームズはくじを用意し, ドーバーまで直行か, メイドストンで途中下車かを決めることになりますが, そのくじの割合をどのような配分にするかが問題です。

前節でご紹介した混合戦略問題で, 結局は線形計画法で解いて頂く ことになります。

このためには, ホームズ, モリアティ教授それぞれの選択に対する利得表が必要です。 例えば:

<ホームズの利得表>

  $D$ $M$
$M$ * *
$D$ * *

D:ドーバーに直行
  M:メイドストン

といったものです。*の数字は皆様, 設定してください。

線形計画法を利用するとき, 利得表の値は正の数であることが必要です。 適当な正の数を足して, 「平行移動」してください


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Yasunari SHIDAMA