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基数の演算

前章までに,議論の厳密性に欠けるところがあるのですが,集合を要素としてもつ集合 $\Omega$を考え、何かの集合$X$を考察するときは$X$はすべてこの$\Omega$の元と しました。

$\Omega$ の元$X,Y$の同値関係$X \sim Y$を   

\begin{displaymath}X \sim Y  \Leftrightarrow  XからYへの双射が存在する。\end{displaymath}

で定義しました。この同値関係による $\Omega$ の元$X$の同値類 を$Card(X)$で表し基数と呼びました。

\begin{displaymath}
Card(X)=\{ Y \in \Omega \vert X \sim Y \}
\end{displaymath}

基数 $Card(X),Card(Y)$には次のように順序関係が定義できます。

\begin{displaymath}Card(X) \le Card(Y)  \Leftrightarrow  「XからYへの単射が存在する」\end{displaymath}

この順序により基数の集合

\begin{displaymath}{\bf N}_{like}=\{ Card(X)|X\in \Omega \}\end{displaymath}

は整列順序集合になります。以下基数の演算を定義しますがこれは ${\bf N}_{like}$上の演算の定義にもなっています。



Yasunari SHIDAMA