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記号論理とは

論理学は文字通り「論理」の学問であり,推論の方法を研究する学問である。

ここで

\begin{eqnarray*}
&&{\bf ソクラテスが人間である}ならば{\bf ソクラテスは死すべき...
...る。}\\
&&ゆえに\\
&&{\bf ソクラテスは死すべきものである。}
\end{eqnarray*}

というよく知られている三段論法について考える。 これらは,助詞の「は」と「が」ではニュアンスが違うが, そのような差異は無視すれば

\begin{eqnarray*}
&&{\bf 「ソクラテスは人間である。」} \\
&&{\bf 「ソクラテスは死すべきものである。」}
\end{eqnarray*}

というソクラテスについての主張, これらは論理学では命題と呼ぶが,これらと

\begin{displaymath}
{\bf 「ならば」}
\end{displaymath}

という言葉からなっている。
ここで,

\begin{displaymath}
{\bf 「ソクラテスは人間である。」}
\end{displaymath}

という命題を記号${\bf P}$で,


\begin{displaymath}
{\bf 「ソクラテスは死すべきものである。」}
\end{displaymath}

という命題を記号${\bf Q}$で表し,

\begin{displaymath}
「ならば」
\end{displaymath}

という言葉を記号$\Rightarrow$で表してみると

\begin{displaymath}
{\bf P} \Rightarrow {\bf Q}, \qquad
{\bf P}, \qquad
{\bf Q}
\end{displaymath}

という記号列が得られる。ここで「ゆえに」という接続詞を省略している。

最初に ${\bf P} \Rightarrow {\bf Q}$が現れ,次にこれの$\Rightarrow$の左側の${\bf P}$が並び最後に,$\Rightarrow$の右側の${\bf Q}$が現れている。

結局,最初に述べた三段論法は記号の列

\begin{displaymath}
{\bf P} \Rightarrow {\bf Q}, \qquad
{\bf P}, \qquad
{\bf Q}
\end{displaymath}

の操作とみなすことができる。

この教材で扱う「記号論理学」ではこのように事物についての主張である命題を記号の列で表現しそれらを操作して,正しい結論を得るための法則を調べる。

記号の規則的な操作を調べるから,それには数学的な手段を用いることができる。 このため記号論理学数理論理学とも呼ばれている。



Yasunari SHIDAMA