ひょっとして,命題論理の完全性やコンパクト性定理をブール代数で証明されたのを聴かれたとか.
色々な論理体系の代数モデルで出てきたとか.もっと進んだ形で,卒業研究とかでかかわった方もおられるかもしれません.
論理回路,集合,命題論理を関連付けるものとして総合的に学ばれた方もいるかもしれませんね.
あなたが,もし意識的に過去ブール代数にかかわったことがあるなら,どのような所で
出合ったのか思い起こしてみましょう.もしよければ,ここで紹介してくださるとうれしいのですが.
セミナー参加者の自己紹介にもなりますし.意識的にかかわったことが なければ,かかわったことがない,という紹介でもいいですね.
色々な出合いがあったことと思います。
しかし,大学レベルの教科書や,カリキュラムをみるとブール代数の取り扱いが,
おまけぐらいというか,なにかすごく表面的な感じがしてなりません.
そこに私は非常に不満を持っているので,それが,このセミナーを企画した理由です。
つまりこのセミナーで,ブール代数をもっと理論的・数学的(代数的)にきちんと学ぶ機会を提供したいと思います。
量は多くないですが,基本となる理論の核となる部分をきっちりと学んでいただけたらと思います。
おそらく,ここで学ぶ内容は他ではなかなか先生について学ぶ機会はないと思います。
短いとはいっても,半年はかかるでしょう.皆さんと私のがんばり次第では,もっと早く終わって次のセミナーに移れるかもしれませんが.
このセミナーのテキストといえるものは
J. D. Monk 著の Mathematical Logic (GTM37) (Springer-VerlA)
のブール代数の章(20ページ)です。
私はブール代数の専門家ではありませんが,テキストの著者の Monkさんはブール代数関連の専門家で著名な方です。
この書物は数理論理学の教科書として非常にすぐれた書物です。
皆さんもこの本と将来お友達になれたらいいですね
ブール代数の定義も済んでいないのになんですが,ブール代数の参考文献について少し書いておきます。
ブール代数は,離散数学,論理回路,ディジタル回路,情報数学等の教科書ではたいてい取り扱われているでしょう.
日本語の書物は非常に多いし,各人の好みの参考書で適宜参考にしていただければと思います。
ブール代数に関して日本語の書物で私の気に入ったものはありません.私の気に入った入門書はこのセミナーで用いる
J.D. Monk 著の Mathematical Logic (GTM37) (Springer-VerlA) のブール代数の章(20ページ)ですので,
それを使うわけです。
ただ,今注文していてまだ見ていないのですが,
「現代のブール代数」S.コッペルベルク著, 渕野昌訳, 共立出版はいい本ではないかと期待しています。
ずいぶん前に出ていたのですが,知りませんでした. ちょうどそのころ私は日本にいなかったし.渕野さんは数理論理学に関連するブール代数
の専門家の一人です。
ただきっと,すごく数学よりで高級な本なのではないかと思います。
早く手に取って見たいものです。
ブール代数の参考文献で,きまって引用される書物は, Monkさんもそれのみを引用されていますが,次の2冊です。
Halmosさんは,著名な尊敬されている数学者です。
線形代数の有名な教科書や,測度論の演習書,代数的論理学の書,
素朴集合論の教科書(実は公理的な取り扱いをしている)などの書物を書いておられます。
Sikorskiさんは,論理体系の代数的取り扱いについての定評ある書物(RAsiowaさんと共著)を書いておられます。
また,ポーランド語ですが,関数論の教科書もあります。
上記2冊とも,入手しずらい(と思う)し,私も持っていません.欲しいとは思っていますが.
基本的な数学の概念の解説書として, 現代数学概説 I, 弥永昌吉, 小平邦彦著, 岩波書店 は持っておいて損のない書物です。
読みこなすのは大変だと思いますが,辞書のように使えばいいのです。
弥永昌吉さんと小平邦彦さんは日本を代表する数学者です。
特に小平さんは,その業績で世界的に著名な尊敬されている数学者です。
弥永昌吉さんは現代の日本の数学の興隆の土台を作るうえで大変大きな功績を残こされた方です。
公理的集合論について,日本語では, 公理的集合論, 田中尚夫著, 倍風館
が,本格的で非常に良い書物です。
こちらも持っておいて損のない書物です。
素朴集合論についても,少し書いてあります。
田中尚夫さんは数理論理学の専門家です。
さて,大学生以上の方に,ブール代数って何ですか? と尋ねたとき,たぶんこう答えてくれるだろうと思います。
「ブール代数?ああ,集合の
についての代数だろ」と答えておしまいになると思います。
でも,それあたっているんですよ.
それは次の定理を平たい言葉でいっていることになるのですから.
本セミナーではこの表現定理を証明します。
[重要]
このセミナーでは, 定義, 定理, 命題, 系, 補題を通し番号で番号付けします。
定理60の60が最終番号で,ブール代数と命題論理の理論が同じものであるという,ブール表現定理とは別の種類の完全性定理を証明して終わります。
演習は別番号で通し番号にします。
演習が何番までいくかはまだ未定です。
そのときどきにおいて自由に出題しますから.
本セミナーのブール代数の取り扱いは公理的,代数的です。
ブール代数は束論から導入できますが,ここではそれは行いません.
束論的観点からブール代数を見るというのは,このセミナーが終わったあとで,新しいセミナー,例えば「論理と位相」(ブール代数と
Stone空間)とか,「ブール代数2」(色々なトピックでできる)とか企画できれば,そこで行いたいと思います。
最後に演習で第2節を締めくくりましょう.次の第3節で,ブール代数を定義し,いよいよ本格的に入っていきます。
少し,集合算の復習をしますか?ちょっと面倒ですが,やって損はないでしょう. 論理学の勉強にも,具体的なブール代数の演算の勉強にもなりますしね(ブール表現定理!).皆さんで手分けしてかまいませんから, 次の集合についての等式,命題を証明してください.