PICNIC

PICNICの動作確認

■PICNICの動作確認

1. 最初の電源投入・調整

2. 動作確認に必要なもの

3. ネットワーク環境

4. 動作確認(通常モード・Ethernet接続)

5. ブラウザ経由での制御

6. (オプション)ブートストラップモード(シリアル接続)によるチェック

 

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2007年8月6日 17:47 更新

 

●最初の電源投入・調整

最初の「火入れ」(電源投入)の手順ソケットへのIC挿入LCDモジュールのコントラスト調整


3.1.1 最初の「火入れ」(電源投入)の手順

最初の「火入れ」(電源投入)の時には、ICソケットにPICマイコンLSIやEEPROMは挿入しないで電源を入れます

何らかの原因でICに誤った電源・信号が投入されると、ICが破壊され、その後の動作チェックの際の原因追求の妨げになります。

基板の下に導電性のものがないか確かめます。出来れば、10mm以上のスペーサを用いて底上げしておくと良いでしょう。

(1)ACアダプタをDC電源コネクタへ接続する。
(2)変な音(パシッ、プチ、バチバチ)や、焦げ臭いような異臭が発生したら、ただちに電源を切り、部品の実装が間違っていないかを確かめる。(焦げていることが確認できた部品は、新品を調達(最寄りの電子パーツ店、もしくはここのような電子部品ネット通販にて購入)し、交換を行う)
(3)(1)の後、異常な現象が現れないようであれば、1分程度しばらく様子を見る。大丈夫のようならば、電源を切る。


3.1.2 ソケットへのIC挿入

最初の電源投入で異常がないようであれば、ICソケットへ、PICマイコンLSI(40pin)、ならびにEEPROM(8pin)を挿入する。ICの向きは、ソケットの切り欠きがある方が、1番pinである。(IC表面に小さい○穴が掘られているピンが1番pin)

方向とピン折れに注意しながら、ソケット奥まで、ギュッと挿し込もう。


3.1.3 LCDモジュールのコントラスト調整

2回目の電源投入を試みます。
ここではLCDモジュールのコントラスト調整も併せて行います。

(1)LCDモジュールのCN5を双方併せて、取り付ける。
(2)ACアダプタをDC電源コネクタへ接続する。
(3)異音や異臭が発生したら、ただちに電源を切る。
(4)(2)の後、LCDパネル上に、少々薄めで■■■■■■‥■と表示されるまで、コントラスト調整VR1を反時計回りに、ちょっとだけ回転させる。適当なコントラスト止め、調整終了。(写真1)

<写真1> LCDコントラスト調整VR1

●動作確認に必要なもの

PICNICキットのhttpサーバとしての動作確認には、以下に挙げるような機材が必要です。
<必須>
・Ethernetポート付きのパソコンなど(webブラウザ)
Ethernetケーブル(HUB経由で接続する場合にはストレート、パソコンと1対1の場合にはクロスケーブル)

<環境によっては既に設置済み>
ネットワークハブ(HUB)調整時には単体使用とする方が良い。

<あれば便利>
・RS-232C D-Sub9ピン オス⇔メス シリアル・ストレート接続ケーブル

●ネットワーク環境

PICNICのファームウェアには、予めデフォルト(初期値)のIPアドレス・ネットマスクとして 192.168.0.200/255.255.255.0 の設定が為されています。
最初に、この設定でパソコンと接続できるネットワーク環境(ローカルIPセグメント)を構成して、webブラウザから、このIPアドレスでリモートI/O画面が表示できる所まで動作確認を行おう。

WindowsパソコンのEthernetネットワーク設定の変更パソコン⇔PICNICをクロスケーブルで1対1接続する場合パソコン⇔HUB⇔PICNICのようにHUB経由で接続する場合DHCPサーバから(グローバル)IPアドレスを取得できる場合大学・企業内LANなどで、固定グローバルIPアドレスを取得できる場合


3.3.1 WindowsパソコンのEthernetネットワーク設定の変更

Windows/XP(クラシックメニュー)の場合、管理者権限を持つユーザにて、

[スタート]→[設定]→[ネットワーク接続]→[ローカルエリアネットワーク接続 #]

を開き、

[インターネットプロトコル(TCP/IP)]

のプロパティを、以下の様に設定します。(これはパソコン側の設定であって、PICNIC側の設定ではありません)

IPアドレス:192.168.0.10
ネットマスク:255.255.255.0
ゲートウェイアドレス:<空白>

<図1> ネットワーク設定ウィンドウ その1

 

<図2> ネットワーク設定ウィンドウ その2



3.3.2 パソコン⇔PICNICをクロスケーブルで1対1接続する場合

パソコンショップなどで、「クロスケーブル」と指定して購入。ストレートケーブルと混在して使用する場合、非常に紛らわしいので、コネクタ先端に油性ペンで”クロス”と書いておくとよいでしょう。

※通常使用する「ストレートケーブル」との違い:両端コネクタのTX、RXが相互、互い違いに接続されている点(つまり、CN1:TX→CN2:RX、CN2:TX→CN1:RXとなっているので、”クロス”)。

<写真2> パソコン⇔PICNICをクロスケーブルで1対1接続

 

<写真3> パソコン側の接続の様子(紛らわしいので”クロス”と書いておいた)



3.3.3 パソコン⇔HUB⇔PICNICのようにHUB経由で接続する場合

パソコンショップなどで、ネットワークHUB、「ストレートケーブル」と指定して購入。手元にあればそれを流用しましょう。UPLINK側は、ADSLモデムや構内LANには接続しないでおきましょう。


<写真4> パソコン⇔HUB⇔PICNICのようにHUB経由で接続する場合



3.3.4 DHCPサーバから(グローバル)IPアドレスを取得できる場合

ファームウェアに書き込まれたIPアドレスの初期値は固定IPアドレスであるため、このままDHCPアドレス取得可能な環境下に設置しても、DHCPアドレス取得を行えないため、正常動作しません

一旦、上述の3.3.2または3.3.3の接続環境にて、後述のIPアドレス変更画面において、IPアドレス=0.0.0.0 に変更しリセットすると、それ以後はDHCPアドレス取得動作を行うようになります。


3.3.5 大学・企業内LANなどで、固定グローバルIPアドレスを取得できる場合

この場合についても、上記 3.3.4 DHCP取得の場合と同様、一旦、上述の3.3.2または3.3.3の接続環境にして、後述のIPアドレス変更画面において、IPアドレス=<管理者から通知されたIPアドレス>、ネットマスク、ゲートウェイアドレスに変更しリセットすると、それ以後は、指定された環境での動作を行うようになります。

●動作確認(通常モード・Ethernet接続)

上述の3.3.1の手順にて、動作チェック用パソコンのネットワーク設定を行い、3.3.2または3.3.3の接続環境にて接続されていることを確認します。

確認ができましたら、以下の手順で、通常モード(Ethernet接続による)の動作確認を実施します。

(1)ネットワークケーブルをPICNIC、パソコンのEthernetコネクタ(あるいはHUBにも)接続する。
(2)ACアダプタをDC電源コネクタへ接続する。
(3)(2)の後、PICNIC基板上のLEDのうち、NICステータスLEDの LINK が点灯していることを確認する。
※点灯していない場合 : ケーブル種類の選択誤り、ケーブル接続不良、もしくはパソコン側NICがクロスケーブルによる1対1接続に対応していない、などの原因が考えられる。もういちど接続をチェックしてみよう。

<写真5> ネットワーク接続されLINKが点灯している様子(初期設定では■■■■■■■が表示)

(4)pingコマンドによる、接続試験を行う。
Windows/XPパソコンの場合、

[スタート]→[プログラム]→[アクセサリ]→[コマンドプロンプト]

を実行し、コマンドプロンプトが表示されたら、

ping 192.168.0.200

とコマンド入力し、PICNICからのping応答をチェックする。
以下のような返答が返ってきたら、動作確認OKである。

<図3> PICNICからのping応答がある様子(ローカルエリア接続 #3側で試験中)

 

※pingの応答が返ってこない場合 : ネットワークアドレスの設定を誤っている、ネットマスク値の設定を誤っている、pingコマンドの引数(IPアドレス)が間違っている、などの原因が考えられる。もう一度、設定値を確認してみよう。

●ブラウザ経由での制御

リモートI/O制御の試験PICNIC側ネットワーク設定の変更(オプション)


3.5.1 リモートI/O制御の試験

上記の手順3.4までで、192.168.0.200からのping応答が確かめられたので、いよいよ、webブラウザによってhttpプロトコルによる接続試験を行う。

(1)インターネットエクスプローラ、Netscapeなどのwebブラウザを起動する。
(2)URLとして、以下を指定する。

http://192.168.0.200/

(3)以下のようなリモートI/O制御画面が表示されたら、サーバ動作チェックは完了である。おめでとう!(下の試験例では、撮影時の都合により、グローバルIPアドレスが設定されている。本来は、192.168.0.200である)

<図4> リモートI/O制御画面が表示

(4)RB4からRB7の [H] または [L] ボタンをクリックして、出力値が変化することを確認する。同時に、基板上の対応するLEDも点灯または消灯することを確認する。

<写真6> リモートI/O制御画面から、RB4を[High]に変更している

 

<写真7> 出力モニタLED、RB4が[High]で点灯している

(5)温度センサICの出力値(摂氏)が、全く違うような値(80℃など)を指していないかどうかを確認する。



3.5.2 PICNIC側ネットワーク設定の変更(オプション)

上述3.3.43.3.5のような特定のネットワーク環境下では、webブラウザ経由でのリモートI/O制御画面:Configuration セクションの各設定値を変更すること、DHCPサーバ環境固定グローバルIPアドレスなどのLAN環境へPICNICを投入することが可能です。

※設定変更後、リセットあるいは電源再投入すると、現在の設定用パソコン(IPアドレスが192.168.0.10/25)からは接続ができなくなります。新たに投入する環境下で、同様に試験を行ってください。

[A] DHCPサーバから(グローバル)IPアドレスを取得できる環境

(1)DHCPサーバからIPアドレスを取得する場合、何番のIPアドレスを取得したのかわからなくなってしまうので、予め CoonfigurationセクションのLCD Port UDP # を 10000に設定して、一度リセットしておいてください。LCDパネルに、DHCPサーバから取得したIPアドレスが表示されているはずです。

(2)改めてwebブラウザによって、[リロード]してください。

(3)例えば、取得したIPアドレスが 160.252.131.126 であったなら、

http://160.252.131.126/

とURLをブラウザに指定することで、この環境下での接続が可能になります。


[B] LANなどで、固定グローバルIPアドレスを取得できる環境

(1)固定IPアドレスを設定してしまうと、次にブラウザからの接続に成功するまでは、何番のIPアドレスを取得したのかわからなくなってしまうので、予め CoonfigurationセクションのLCD Port UDP # を 10000に設定して、一度リセットしておいてください。LCDパネルには、いま設定した固定IPアドレスが表示されているはずです。

(2)改めてwebブラウザによって、[リロード]してください。

(3)例えば、設定した固定IPアドレスが 160.252.131.19 であったなら、

http://160.252.131.19/

とURLをブラウザに指定することで、この環境下での接続が可能になります(上記の図4のスクリーンショットにて稼動しているPICNICは、このグローバルIPアドレスを設定して投入したもの)。


※これらの操作の手順を誤り、結果、正常にEthernet経由での接続ができなくなってしまった場合、ならびに設定値を忘れてしまった場合には、次に述べる、ブートストラップモードでシリアルケーブル接続されたパソコン(端末)によるチェックを行い、PICNICの設定値の確認と変更を行う必要があります。

●(オプション)ブートストラップモード(シリアル接続)によるチェック

必要な機材・端末ソフトウェアパソコン⇔PICNICのシリアル接続ブートストラップモードによるPICNIC立ち上げとにかく初期値へ戻すには?


3.6.1 必要な機材・端末ソフトウェア

ブートストラップモード(シリアル接続)によるチェックのためには、以下の機材と端末ソフトウェアを準備する必要があります。

<必須>
・RS-232Cシリアルポート付きのパソコン(最近は少ない
・なければ、USB接続の仮想シリアルポートアダプタ(COM5:などに割り当てられる)を購入し、パソコンに接続・設定する(パソコンショップで購入可能だが、結構高価)
・RS-232C D-Sub9ピン オス⇔メス シリアルストレート接続ケーブル

<端末ソフトウェア>
・Windows用であれば、TeraTerm Pro がお勧め


3.6.2 パソコン⇔PICNICのシリアル接続

双方のD-Sub 9pin コネクタを、シリアルケーブルで接続する。

<写真9> RS-232C D-Sub9ピン オス⇔メス シリアルストレート接続ケーブル

 

<写真10> PICNIC側⇔パソコン側を、シリアルケーブルで接続


3.6.3 ブートストラップモードによるPICNIC立ち上げ

PICNICのファームウェアを電源投入時にブートストラップモードで立ち上げるためには、以下の手順で行う(ジャンパJP2の設定を変える)。

(1)ジャンパピンJP2 が1-2開放 → 1-2短絡 へ変更する。
(2)TeraTerm Proなどの端末プログラムを起動し、該当するパソコン側のCOMポート番号を指定する(本体に標準シリアルポートが備わっている場合はCOM1:またはCOM2:で試す)。通信条件は、9600bps、8bit、パリティなし、とする。
(3)端末プログラムが起動している状態で、ACアダプタをDC電源コネクタへ接続する。

(4)うまく接続できていれば、以下のようなオープニングメッセージが端末プログラムへ受信され、表示される。

<図5> ブートストラップモードで立ち上げ(オープニングメッセージ)

(5)キット同梱の取扱説明書:6ページを参考にして、IPアドレスその他を正しい値へ設定する。

(6)設定が終了したら、一旦、電源を切り、ジャンパピンJP2を元通り(1-2開放)にする

(7)ターゲットとなる環境下へ投入し、再度、動作チェックを行う。



3.6.4 とにかく初期値へ戻すには?

IPアドレス:192.168.0.200(i=192.168.0.200)
ネットマスク:255.255.255.0 (n=255.255.255.0)
ゲートウェイアドレス:0.0.0.0 (g=0.0.0.0)

とコマンド入力し、リセットし、設定手順の最初へ戻ろう

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