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FAQ

このセクションでは、質問済みであるにも関わらず、何度も質問されている項目、また、高い点数を与えた質問を中心にFAQ(よくある質問とその答え)としてまとめました。

Q1
見たところ学生から訂正の指摘があった箇所を直していないようなのですが,なぜ直さないのでしょうか。指摘の重なりを防ぐためにも直されたほうがよいのではないでしょうか。

A1
講義終了後5月下旬一括し直したいのです。特にこの形式でやって熱心に教材に取り組んでいるかや他人の質問事項にどれだけ注意を払っているかも興味あるところです。例えば今ごろになって、まだ,命題論理の最初の方をやっているとか, 一方,どんどん先に進んで勉強やっている人がいるとか,ここを観れば直わかるからです。

Q2
情報論理学の講義は,情報工学を学ぼうとしている私たちにどのような意味があるのでしょうか。
A2
これから工学、科学を勉強する上での一般的な数理的,論理的思考法の基礎訓練及び,論理回路などへの導入部分と構造主義的方法への導入という2つの目的があります。

Q3
メタ記号は何語ですか。
A3
これはカリグラフ書体(文字)といいます。 普通のAと書くと、これが命題変数なのか、不特定の論理式を表しているのか 判らなくなるので論理式の場合はカリグラフ書体を使っています。

Q4
Aのひっくり返った記号やEの逆になった記号は何ですか?
A4
for all x 〜のAをひっくり返して$(\forall x)$〜です。意味は「全てのxについて〜」です。 there exists x 〜のEをひっくり返して$(\exists x)$ 〜です。意味は「あるxが存在して〜」です。

Q5
これは証明可能だと思い込み,間違えてしまうような落とし穴はありますか。私はこうゆうのには,何かあると思ってしまうのですが。
A5
「証明可能」は「証明できるだろう」と言っているのではなくて問題にしている論理式が,「証明」と呼ばれる論理式の特殊な列に現れるという意味です。

Q6
真理関数の中に同値$( \iff)$の記号がありますが、等式の記号$(=)$と意味がよく似ており、今一つ区別がつきません。この二つの記号の具体的な違いを教えてください。
A6
$R(X,Y)\iff P(X,Y)$ は2つの論理式$R(X,Y),P(X,Y)$$ \iff $ で結合された「論理式」です。 $R(X,Y)=P(X,Y)$ というのは $R=P$ と書くほうが $=$ の意味がわかるのですが,両辺の真理値が変数X,Yの真理値 がなにであっても一致するという意味です。

Q7
□は,どういう意味ですか。
A7
「これで示された」,「よって成り立つ」という議論の終わりの記号です。

Q8
P「ソクラテスは人間である。」,Q「ソクラテスは死すべきものである。」 とあって、P⇒Qというのは「人間である」ならば「死すべきものである。」 となり⇒は成り立っているが,Q⇒Pの「死すべきものである。」ならば 「人間である。」は⇒成り立っているのでしょうか。 命題⇒命題とするならQ⇒Pも成り立つのでは。
A8
成立っていません。それが判るのは,本当はPの意味とQの意味がわかる からです。 P⇒Q 自体がTで,PがTならQもTといった 話をやるわけです。P⇒Q そのものがなぜTとして良いかどうかは問題にしていです。

Q9
1.2.4のよく用いられる真理関数の最後の方に

「定理4,定理5によれば論理記号として $\neg , \wedge , \vee , \Rightarrow$ を持つものを扱えば充分である。1.1.5節で示したように命題論理で扱う論理式は再帰的に定義できる。」

と書かれていますが、$\Rightarrow$ は, $\neg(X \Rightarrow Y) = X \wedge \neg Y$ などというように $\neg,\wedge,\vee$ だけで表すことができるので,論理記号としては $\neg,\wedge,\vee$ を持つものだけを扱えばいいのではないでしょうか?

A9
それで、この教材の議論をは全てできます。$\Rightarrow$ をあえて使うのは3段論法など使った記述を判りやすく、短くするためです。

Q10
2.1.1のn項述語で,「述語論理ではさらに,何らかの対象の集合Dも定義される。これは具体的には整数の集合や実数の集合であったり,あるいは日本人全体の集合といったものを表したりする」とあり,または空でないことが要求されるとあるということは空でなければ集合Dはどんな集合でもよいということですか。
A10
そうです。

Q11
固体閉論理式についての定義を読みました。自由変数記号(限定記号で束縛されていない対象変数記号)を持たない論理式である。ここの自由変数記号を例を出して説明していただけませんか。
A11
$x>2$ は(自由)変数が$x$の述語です。

\begin{displaymath}D = (a,b)\end{displaymath}

のとき

\begin{displaymath}(\forall x)(x>2) = (a>2 \wedge b>2)\end{displaymath}

だから自由変数なし。つまり個体閉式です。

Q12
妥当性の証明のところで

\begin{displaymath}
AjはAj⇒Aiは真理値Tしかとらないから
\end{displaymath}

というのがよくわかりません。
A12

\begin{displaymath}
A_{j} \; A_{j} \Rightarrow A_{i} \; A_{i}
\end{displaymath}

というように論理式が並んでて、帰納法の仮定で$A_{i}$より前の $A_{j}とA_{j} \Rightarrow A_{i}がTあるので,A_{i}はTになる。$ という意味です。

Q13
3.1.6の冠頭標準形の最後,「さらに以上の手順と主標準形(主標準形)への変換アルゴリズムを併用することができる。」とはどうゆうことですか。どのようにするのですか。
A13
(∀x)(∃y)((x>y)⇒(y=1)∨(z=2))

\begin{displaymath}
(\forall x)(\exists y) ((x>y) \Rightarrow (y=1) \vee (=2))
\end{displaymath}

に適用してみてください。

Q14
4.1.1の述語論理の完全性定理の妥当性の証明のところで

\begin{displaymath}
Aは最後のA_{n}と一致しているものとしてよい
\end{displaymath}

とありますがどうして一致しているものとしてよいのですか。
A14
Aが証明可能な論理式なら,ある「証明」

\begin{displaymath}
A_{1},A_{2},...,A_{n},...
\end{displaymath}

の中にAが現れるのでそこで列を切ってしまうということです。

Q15
4.1.7の演鐸定理において, $a_{1},a_{2},...,a_{l} $$ A_{n} $ に現れる総べての自由変数記号とする。とは具体的にはどのような意味でしょうか。
A15
$ A_{n} $が例えば,

\begin{displaymath}
(a_{1}=a_{2}) \wedge (a_{3} > a_{2})
\end{displaymath}

といった論理式ということです。


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Yasunari SHIDAMA