: 集合の演算
: 記号論理
: 集合論の公理系
目次
集合論などの数学的理論では1.2節の公理まで遡って,定理の証明を記述することはあまりません。その記述では暗黙のうちに1.2,1.3節で述べた推論法則や,演繹定理を使い,その推論がどの推論法則を使っているかでさえ,明示しません。
ここで,いくつか典型的な類例を挙げておきます。
- 例えば,
を証明するには以下のようになります。
- 先ず,任意の対象(変数)記号を選ぶ。
実際には,「を任意にとる。」などと記述されます。
- を仮定する。
これは今扱っている集合論の公理系(これをとしておきます。)
に関係式を追加し,
以後この新しい公理系(これを
としておきます。)で議論を意味します。
実際には,「を仮定すると」などと書きます。
- を示す。
これは,
意味します。
- (c)から演繹定理により,
が示されます。
実際には,
「仮定により
」
などと記述されます。
- (d)の結果について,(a)では任意に選択されているので自由変数であり,推論規則「全称化」を適用します。
実際には,
「は任意であったから
」
などと記述されます。
-
を証明するには以下のようになります。は何らかの関係式です。
- 先ず,
を仮定する。
実際には「
を仮定する。」などと記述されます。
これは今扱っている集合論の公理系に関係式
を
追加し,以後この新しい公理系での議論を意味します。
ぶ。
- を を充たす定数(対象定数記号)とする。
「をを充たす対象とする」などと書かれます。
- を示す。
意味します。
- (c)から演繹定理により,
が示されます。
実際には,
「仮定
により
」
などと記述されます。
Yasunari SHIDAMA