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命題論理

 上の命題${\bf P.Q}$について,それが何を主張しているかどうかには立ち入らず,それらの単に「真」であるか「偽」であるかという性質だけに注目しよう。

「真である」であることを$T$で,「偽である」であることを$F$で表すことにしよう。

中学校以来,我々は整数の集合${\bf Z}$とか実数の集合${\bf R}$を知り,その集合の要素どうしの足し算,掛け算などの演算を学んできた。
特に文字式の演算では, それらの集合の$0$$1$など具体的な要素を用いる替わりに,不特定な要素を変数$x,y$などを用いて表してきた。
さらにそれらに足し算や掛け算をして新しい要素を作り出す操作を

\begin{displaymath}x+y \qquad  や x \cdot y\end{displaymath}

と表現してきた。そして 演算の交換則

\begin{displaymath}
x \cdot y = y \cdot x
\qquad
x+y =y+x
\end{displaymath}

結合則

\begin{displaymath}
x \cdot ( y \cdot z)=(x \cdot y) \cdot z
\qquad
x + ( y + z)=(x + y) + z
\end{displaymath}

などを学び,これらは代数と呼ばれる数学の分野であることも知った。

これと同様に記号論理学のうち命題論理学では命題${\bf P.Q}$ を集合

\begin{displaymath}{\bf V}=\{T,F\}\end{displaymath}

上の変数とみなし,先に述べた命題の操作をその${\bf V}$上の代数的な演算とみなして考察する。
変数である${\bf P.Q}$命題変数と呼ぶ。
命題変数${\bf P.Q}$はそれぞれ,それらの具体的な「値」として $T$または$F$を持っている。この$T$$F$を真理値と呼ぶ。



Yasunari SHIDAMA