変分法の典型的な問題は,第1章でも述べましたが
原点と点を通りその長さが最小になるような線分
を与える関数を求めよ
といった問題です。問題の関数を区間の各点で微分可能でその微分係数がについて連続な関数の仲間から探すとすれば,この問題は,
による線分の長さが
(2.7) |
以後,この問題を解いていきますが,のような集合を関数空間と呼び,
のように,関数空間の要素である関数に実数値を対応させるものを
汎関数とよびます。上の問題では
汎関数
見通しを良くするため,先ず以下の問題を解いてみます。
変分問題その1 汎関数
[解法]
は
で最小と仮定します。
ここで
注意しなければならないのは,補題の条件は,極小値や極大値を与える必要条件ということです。
その条件を充たすものを求めたとしても,「必要条件」を充たす「候補」で,それが,「最小(最大)」
かどうかは別途調べる必要があります。
この補題2.1.1を適用するため,
のにおける微分可能性を示し,
[ハールの補題の適用]
補題によりが で 微分可能で極小値をとるから
(証明)
です。ここで,
これを用いて
は任意かつ,
なのである定数が存在して,