集合の基数

議論の厳密性に欠けるところがあるのですが，出来るだけ話を見やすくするために，集合を要素としてもつ集合$\Omega$を考えます．今後，何かの集合$X$を考察するときは$X$はこの$\Omega$の元とします．
全ての集合が$\Omega$の元という意味ではありません．
さて$\Omega$に次のような同値関係$\sim$を定義します．
$\Omega$の元$X,Y$　(これらは集合ですが) が同値であるとは $X$から$Y$への双射が存在することである．

$$X\sim Y \stackrel{def}{\Leftrightarrow} (\exists f: X\to Y)( f:双射)$$

問題5.1
　関係$X\sim Y$が$\Omega$上の同値関係であることを示して下さい．

(1) $\Omega$の任意の元$X \in \Omega$について$X \sim X$　

$$(\forall X\in \Omega) ( X \sim X )$$

(2) $\Omega$の任意の二つの元 $X\in\Omega,Y\in\Omega$について $X\sim Y$ならば$Y \sim X$

$$(\forall X\in \Omega) (\forall Y\in \Omega) ( X\sim Y \Rightarrow Y\sim X )$$

(3) $\Omega$の任意の三つの元 $X,Y,Z\in\Omega$について
　 $X\sim Y$かつ$Y\sim Z$ならば$X\sim Z$　　

$$(\forall X\in\Omega) (\forall Y\in\Omega) (\forall Z\in\Omega) (( X\sim Y and Y \sim Z ) \Rightarrow X \sim Z )$$

$\Omega$の元$X$の同値関係$X\sim Y$による同値類を $Card(X)$で表します．

　

$$Card(X) ＝\{ Y\in\Omega｜X \sim Y\}$$

$Card(X)$を基数と呼びます．
これは$\Omega$に属する集合のうち，$X$からの双射が存在する集合全ての集合です．
$\Omega$の同値関係$X\sim Y$による商集合を$N_{like}$で表します．

$$N_{like} ＝\Omega / \sim＝\{ Card(X)｜X\in\Omega \}$$

# 自然数モドキの定義　自然数モドキ＝基数の集合